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音痴はボイトレで改善できる?音程が苦手な原因と練習の考え方

執筆者の写真: 内田のボイトレ
内田のボイトレ
10月7日
読了時間: 10分

はじめに

声や歌については、文章で説明すると、

どうしても分かりにくくなってしまうことがあります。

僕自身も、ボイトレや声について新しい知識を学んだとき、「なるほど」と頭では分かっても、実際に声を出してみるとすぐにはできないことがたくさんありました。

だからこそ、この記事では難しい内容もできるだけ分かりやすくまとめています。

すべてを一度で理解する必要はありません。

「そういう考え方もあるんだな」「これ、自分にも当てはまるかも」

そんなふうに、皆さんのボイトレや歌の練習の何か一つのヒントになれば嬉しいです。

そして、文章を読んでも「自分の場合はどうなんだろう?」と思ったら、ぜひ体験レッスンで直接質問してください。

実際に声を出しながら、一緒に確認していきましょう。

音痴はボイトレで改善できる?

「自分は音痴だから歌が苦手です」

「何度練習しても音程が合いません」

「音痴は生まれつきだから直らないですよね?」

ボイトレをしていると、このような相談を受けることがあります。

結論から言うと、

音程が苦手だからといって、必ずしも「生まれつきだから改善できない」とは言えません。

歌の音程には、

  • 音を聞き取ること

  • 目標となる音の高さを覚えること

  • 自分の声を聞くこと

  • 声を目標の高さに合わせること

  • 歌いながら修正すること

など、複数の能力が関係しています。

そのため、

「音痴」という一つの言葉だけで原因を決めることはできません。

そもそも「音痴」とは?

「音痴」という言葉は、日常会話ではよく使われます。

しかし、医学的な診断名として単純に「音痴」という一つの状態があるわけではありません。

研究では、音楽や音程の処理が苦手な状態について、さまざまな名称や分類が使われています。

例えば、

amusia(失音楽症)

という言葉があります。

これは音楽を認識したり処理したりする能力に関する研究で使われる用語ですが、日常会話で「歌が苦手」という意味で使う「音痴」と完全に同じではありません。

つまり、

歌が苦手=医学的な問題がある

ということではありません。

ここは分けて考える必要があります。

音程が合わない原因は一つではない

例えば、

「ドの音を歌ってください」

と言われたとします。

このとき必要になるのは、単純に「声を出す能力」だけではありません。

まず、

① 目標となる音を聞く

必要があります。

次に、

② その音の高さを認識する

必要があります。

そして、

③ 自分が出そうとしている音を調整する

必要があります。

さらに、

④ 実際に出した声を自分で聞く

必要があります。

最後に、

⑤ 目標との差を感じて修正する

という流れがあります。

つまり、

聞く → 声を出す → 自分の声を聞く → 比較する → 修正する

という循環が関係しています。

このため、「音程が合わない」という結果だけを見て、

「耳が悪い」

「声が悪い」

と決めつけることはできません。

「音は分かるのに歌えない」人もいる

これはボイトレでも重要なポイントです。

例えば、

ピアノで音を聞けば、

「この音より高い」

「この音より低い」

と分かる。

でも、自分で歌うと音程が合わない。

この場合、

音を聞き分ける能力と、聞いた音に合わせて声を動かす能力は同じではない

と考えることができます。

歌では、耳で得た情報を発声運動につなげる必要があります。

そのため、

「音程が分からない」

のではなく、

「分かっている音に声を合わせることが難しい」

というケースもあります。

「声を出した後に修正する」能力も大切

歌は、一度声を出したら終わりではありません。

実際には、

「少し低かった」

「今度は少し高かった」

と感じながら調整していくことがあります。

このような調整には、聴覚から得た情報と発声運動の連携が関係します。

そのため、

歌唱は「正しい音を最初から完璧に当てる能力」だけで成り立っているわけではありません。

声を出して、

聞いて、

修正する。

この繰り返しも歌唱の重要な部分です。

F0(基本周波数)も音程に関係する

歌の音程を考えるときに出てくるのが、

F0(基本周波数)

という言葉です。

F0とは、声帯が振動する速さに関係する数値です。

声帯が速く振動すると高い音に、ゆっくり振動すると低い音になる傾向があります。

歌で音程を合わせるときは、目標となる音の高さに合わせて、声帯の振動の状態も変化します。

ただし、

歌の音程はF0だけで決まるわけではありません。

声帯の働きや発声の仕方、聴覚から得られる情報、声を調整する運動など、さまざまな要素が関係します。

そのため、

「音痴だからF0をコントロールできない」

というように、単純化することもできません。

音程がズレるパターンにも違いがある

「音程が取れない」と言っても、実際にはさまざまなパターンがあります。

例えば、

① 最初から音が低い

目標音より低いところから歌い始める。

② 最初から音が高い

目標音より高いところから歌い始める。

③ 歌っている途中でズレる

最初は合っているのに、徐々に音程がずれていく。

④ 高音だけズレる

低音は合うのに、高くなると音程が不安定になる。

⑤ 音程が上下に揺れる

目標音の周辺を行ったり来たりする。

⑥ 特定の音だけズレる

特定の音域や母音などで問題が起こる。

⑦ アカペラになるとズレる

伴奏があると歌えるのに、伴奏がなくなると不安定になる。

このように、

「音痴」という一言でも、歌っている状態はかなり違います。

カラオケでは歌えるのに、アカペラだと歌えない

このパターンについては、以前の記事でも詳しく説明しました。

伴奏があると、

「次にどの音へ進むのか」

「今どのくらいの高さなのか」

などを判断するための手がかりが増えます。

一方、アカペラになると、自分で音程を保つ必要性が大きくなります。

そのため、

カラオケでは歌える=音程に問題がない

とも、

アカペラで歌えない=音痴

とも言い切れません。

伴奏から得られる情報を利用して歌っている可能性もあります。

「自分の声が聞こえていない」場合もある

歌っているとき、自分の声は、

  • 空気を通して耳に届く音

  • 頭蓋骨などを通して感じる音

など、複数の経路から知覚されます。

さらに、カラオケでは伴奏やスピーカーの音も加わります。

そのため、

「自分ではちゃんと歌えていると思っていたけど、録音を聞くと違っていた」

ということもあります。

ここで録音は一つの確認方法になります。

自分の歌を録音して聞くことで、

  • 音程

  • 声量

  • タイミング

  • 声質

などを、歌っている最中とは違う視点から確認できます。

ただし、録音された声も、マイク・部屋・録音機器などの影響を受けます。

そのため、

録音=完全に客観的な評価

というわけではありません。

あくまで、

「自分が歌っているときの感覚」と「録音された声」を比較するための材料

として使うとよいでしょう。

音程の練習で大切なのは「当てる」だけではない

音程練習というと、

「正しい音を一発で当てる」

ことを考えがちです。

もちろん、それも一つの練習になります。

しかし、

聞く → 歌う → 自分の声を聞く → 比較する → 修正する

という流れも重要です。

例えば、

「少し低かった」

と感じたら、次に少し高く調整してみる。

それを繰り返すことで、

自分の声と目標音との関係を確認できます。

歌の練習では、このような聴覚と発声運動の連携を考えることができます。

「もっと耳を鍛えればいい」とも限らない

音程が苦手な人に、

「もっと耳を鍛えましょう」

とだけ伝えても、十分ではない場合があります。

なぜなら、

耳で分かることと、声で再現できることは別だからです。

逆に、

「声を出す練習だけをすればいい」

とも限りません。

目標音をどのように認識しているのか、自分の声をどのように聞いているのかも関係します。

そのため、

聴覚と発声を別々に考えるのではなく、両方のつながりを見る

ことが大切です。

音痴は「才能がない」という意味ではない

「自分は音痴だから歌えない」

と思ってしまうと、歌うこと自体が嫌になってしまうかもしれません。

しかし、

音程が苦手であることと、歌の能力がすべて低いことは同じではありません。

例えば、

音程は苦手だけれどリズムは得意。

声量はあるけれど音程が不安定。

高音は出るけれど低音でズレる。

カラオケでは歌えるけれどアカペラが苦手。

など、人によって特徴は違います。

だからこそ、

「音痴」という言葉だけで自分の歌を評価しないことも大切だと思います。

ボイトレで改善できる可能性はある?

ここも、

「誰でも必ず完全に改善する」

と断言することはできません。

音程の問題には個人差があり、原因も一つではないからです。

一方で、研究では、音程の正確さや歌唱能力が訓練によって変化する可能性が検討されています。

特に、

「音を聞く → 歌う → 自分の声を聞く → 修正する」

というような聴覚と発声の連携を使った練習は、歌唱を学習する上で重要な考え方です。

そのため、

「音痴だから何をしても変わらない」

と最初から決めつける必要はありません。

内田のボイトレでは「音痴」という言葉だけで判断しない

僕が大切にしたいのは、

「あなたは音痴です」

と簡単に決めてしまうことではありません。

例えば、

「この音だけ低くなる」

「高音になると急にズレる」

「伴奏があると歌える」

「アカペラになると不安定になる」

「自分では合っていると思っているけれど録音すると違う」

など、

実際にどんなズレ方をしているのか

を見ていきます。

その上で、

「耳で認識する部分なのか」

「声を合わせる運動の部分なのか」

「発声そのものが関係しているのか」

「複数の要素が重なっているのか」

を考えていきます。

もちろん、実際の原因を一度のレッスンで完全に決められるとは限りません。

だからこそ、

「音痴を直す」という大きな目標だけではなく、「どこで、どのように音程がズレているのか」を細かく見る

ことを大切にしています。

自分の音程を確認するときの7つのポイント

自分の歌を確認するときは、次のようなポイントを見てみてください。

① 最初の音は合っている?

歌い始めから低いのか、高いのか。

② 歌っている途中でズレる?

最初は合っているのに、途中からズレるのか。

③ 高音だけズレる?

音域によって違いがあるか。

④ アカペラではどうなる?

伴奏がなくても音程を保てるか。

⑤ 録音するとどう聞こえる?

自分が歌っているときの感覚と、録音された声に違いがあるか。

⑥ 特定の音や母音でズレる?

いつも同じ場所で問題が起きていないか。

⑦ ズレた後に修正できる?

「今、低かった」と気づいて次の声を調整できるか。

この最後のポイントも大切です。

「一度ズレたら終わり」ではありません。

ズレに気づいて修正する能力も、歌う上で重要な要素だからです。

まとめ

「音痴」という言葉だけでは、歌が苦手な理由を説明することはできません。

音程には、

  • 音を聞く

  • 音の高さを認識する

  • 目標音を覚える

  • 声を動かす

  • 自分の声を聞く

  • 目標との差を確認する

  • 必要に応じて修正する

など、さまざまな要素が関係しています。

そのため、

「音程が取れない=耳が悪い」

とも、

「音痴=生まれつきで直らない」

とも簡単には言えません。

まずは、

「自分はどこで、どのように音程がズレるのか?」

を確認してみてください。

一発で正解を出すことだけではなく、

聞く → 歌う → 聞く → 比較する → 修正する

という流れを見ることも、歌の練習では大切です。

内田のボイトレでは、「音痴」という言葉だけで判断するのではなく、実際に声を出しながら、どのような条件で音程がズレるのかを一緒に確認していきます。

「自分の場合は、なぜ音程がズレるんだろう?」

そんな疑問があれば、体験レッスンで直接質問してください。

実際に声を出しながら、一緒に確認していきましょう。

参考文献

  • Watts C, Moore R, McCagh J. The relation between vocal pitch-matching accuracy and pitch discrimination ability in untrained adult singers. Journal of Voice. 2003;17(1):61–69. DOI: 10.1016/S0892-1997(03)00023-7.

  • Pfordresher PQ, Halpern AR. Are auditory images read out from working memory? Psychological Research. 2013. DOI: 10.3758/s13423-013-0401-8.

  • Pfordresher PQ, Mantell JT. Effects of altered auditory feedback across effector systems: production of speech and song. Cognitive Psychology. 2014. DOI: 10.1016/j.cogpsych.2013.12.005.

  • Bottalico P, Graetzer S, Hunter EJ. Effects of acoustic noise on vocal effort and vocal performance. Journal of Voice. 2017. DOI: 10.1016/j.jvoice.2016.01.012.

  • Loui P, Guenther FH, Mathys C, Schlaug G. Action-perception mismatch in tone-deafness. Annals of the New York Academy of Sciences. 2015. DOI: 10.1111/nyas.12623.

  • Pfordresher PQ. Auditory-motor mechanisms in music production. Annals of the New York Academy of Sciences. 2022. DOI: 10.1111/nyas.14815.

 
 

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