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声が通らない原因は?歌で声を響かせるために知っておきたい事

執筆者の写真: 内田のボイトレ
内田のボイトレ
10月7日
読了時間: 14分

はじめに

声や歌については、文章で説明すると、どうしても分かりにくくなってしまうことがあります。

僕自身も、ボイトレや声について新しい知識を学んだとき、「なるほど」と頭では分かっても、実際に声を出してみるとすぐにはできないことがたくさんありました。

だからこそ、この記事では難しい内容もできるだけ分かりやすくまとめています。

すべてを一度で理解する必要はありません。

「そういう考え方もあるんだな」「これ、自分にも当てはまるかも」

そんなふうに、皆さんのボイトレや歌の練習の何か一つのヒントになれば嬉しいです。

そして、文章を読んでも「自分の場合はどうなんだろう?」と思ったら、ぜひ体験レッスンで直接質問してください。

実際に声を出しながら、一緒に確認していきましょう。

結論|「声が通らない=声が小さい」とは限りません

「もっと大きな声を出しているのに、声が通らない」

「カラオケで歌うと、自分の声が伴奏に埋もれてしまう」

「声量はあるはずなのに、遠くまで届かない感じがする」

このような悩みは、単純に「声が小さい」というだけでは説明できないことがあります。

声の聞こえ方には、

  • 声帯の振動

  • 息の使い方

  • 声帯の閉じ方

  • 喉や口の中の形

  • 声の響き方

  • 周囲の音

  • 発声するときの力み

など、さまざまな要素が関係しています。

NIDCD(アメリカ国立聴覚・コミュニケーション障害研究所)も、声は声帯の振動によって作られ、その音が喉や口などの空間を通ることで、声の音質や音量などが変化すると説明しています。

つまり、

「声が通らないから、もっと大きな声を出す」

だけでは、解決しない場合があります。

そもそも「声が通る」とは?

「声が通る」という言葉は、日常的によく使われます。

例えば、

  • 遠くにいる人にも聞こえる

  • 周りが騒がしくても聞き取りやすい

  • 歌っているときに伴奏に埋もれにくい

  • 歌詞が聞き取りやすい

  • 声の輪郭がはっきりしている

などです。

つまり、

声が通る=単純に声が大きい

とは限りません。

大きな声を出しているのに聞き取りにくい人もいます。

反対に、そこまで大きな声に感じないのに、言葉がはっきり聞こえる人もいます。

この違いを考えることが、「声が通らない」という悩みを考える第一歩になります。

声はどうやって作られる?

まず、声ができる基本的な仕組みを簡単に見てみましょう。

声は大まかに、

息 → 声帯が振動する → 喉や口の中を通る → 声として外に出る

という流れで作られます。

声帯は、喉の中にある左右一対の組織です。

肺から出てきた空気が声帯の間を通るとき、声帯が振動することで音のもとが作られます。

その音が喉や口の中などを通ることで、私たちが聞く「声」になっていきます。

このように考えると、

声帯だけを考えても、声全体を説明することはできない

ということが分かります。

「息をたくさん吐けば声が通る」は本当?

声が小さいと、

「もっと息を出さないと!」

と考える人もいると思います。

しかし、

息をたくさん吐けば、必ず声が通るわけではありません。

声の大きさには、息の圧力だけでなく、

  • 声帯がどのように閉じるか

  • 声帯がどのように振動するか

  • 喉や口の中の形

  • 声道(声が通る道)の状態

なども関係します。

Titzeらの研究でも、声の大きさを調整する仕組みについて、肺からの圧力だけでなく、声帯の閉じ方や声道の形など、複数の要素の関係が検討されています。

そのため、

「声が通らない=もっと息を吐く」

と単純に考えないほうがよいでしょう。

「声道」って何?

ここで一つ、専門用語を説明します。

声道(せいどう)とは、簡単に言えば、

声帯で作られた音が外に出ていくまでに通る、喉・口などの空間

のことです。

例えば、

  • 喉の奥

  • 口の中

  • 舌の位置

  • 唇の形

などが、声の響き方や音色に関係します。

同じように声帯を振動させても、口の形や舌の位置などが変わると、声の聞こえ方も変わります。

そのため、

声を通したい=声帯だけを強く働かせればいい

というわけではありません。

「声を前に飛ばす」ってどういうこと?

ボイトレでは、

「声を前に飛ばして」

「前に響かせて」

と言われることがあります。

初めて聞く人には、少し不思議な表現ですよね。

実際に声が物体のように「前へ飛んでいる」という意味ではありません。

これは、声の響きや聞こえ方を調整するときに使われる感覚的な表現の一つです。

例えば、

「鼻のあたりに響く感じ」

「口の前のほうに声が集まる感じ」

など、人によってさまざまな感覚があります。

ただし、

「前に響く感覚があれば必ず正しい」

と決めつけることもできません。

感覚には個人差があるからです。

声が通らない人に多い5つのパターン

ここからは、歌でよく考えられるケースを見ていきます。

① 声量を上げようとして力んでしまう

声が聞こえないと、

「もっと大きく!」

と頑張ってしまうことがあります。

すると、

  • 首に力が入る

  • 喉周辺が固くなる

  • 声を押し出すようになる

  • 歌うこと自体が苦しくなる

などが起こる場合があります。

もちろん、声を出すときに筋肉が働くこと自体は普通のことです。

問題は、

「声を大きくするために、必要以上に力を入れていないか」

ということです。

② 息が多すぎて、声がぼやける

「声を通したい」と思って、息をたくさん吐いてしまうケースもあります。

しかし、

息が多い=声が通る

とは限りません。

例えば、息が多くなりすぎると、

「ハーッ」

とした息っぽい声になることがあります。

すると、声の輪郭がはっきりせず、

「大きく声を出しているのに、なぜか聞き取りにくい」

という状態になることもあります。

もちろん、必要な息の量は、音域や声質、発声方法などによって変わります。

ここでも、

「もっと息!」だけで解決しようとしない

ことが大切です。

③ 声は大きいけれど、聞き取りにくい

これもよく考えてみたいケースです。

本人は、

「かなり大きな声を出している」

と感じています。

ところが録音して聞いてみると、

「思ったより聞き取りにくい」

ということがあります。

これは、

声の大きさだけで、声の聞こえやすさが決まるわけではない

ためです。

声帯で作られた音は、そのまま私たちが聞く声になるわけではありません。

喉や口の中などを通ることで、声の音色や響き方が変わります。

例えば、同じくらいの大きさの声でも、

「声の輪郭がはっきりして聞き取りやすい声」

と、

「大きいけれど、少しぼやけて聞こえる声」

では、印象が違います。

さらに、カラオケやバンド演奏など、周囲に大きな音がある場合は、自分の声がその音の中に埋もれてしまうこともあります。

そのため、

「声が通らない=もっと大きな声を出す」

と考えるだけではなく、

「自分の声が、実際にはどのように聞こえているのか」

を確認することも大切です。

④ カラオケでは自分の声が聞こえにくい

カラオケでは、伴奏そのものが大きな音になっています。

そのため、

「自分の声が小さい」

と思っていても、

実際には伴奏との音量差によって、自分の声が聞こえにくくなっている

可能性があります。

例えば、

自分の声+カラオケの伴奏+周囲の人の声

という環境では、自分の声を確認すること自体が難しくなります。

NIDCDも、騒がしい場所で周囲の音に負けないように話すことは、声への負担につながる可能性があるため、騒音の大きい環境では注意するよう説明しています。

歌でも、

「もっと声を大きくする」

だけではなく、

「自分の声をどう聞いているのか」

を確認してみることが大切です。

⑤ 自分では「通っている」と思っていても、録音すると違って聞こえる

ここで、ぜひ試してほしい方法があります。

自分の声を録音して聞いてみる

歌っているとき、自分の声は耳だけではなく、身体の振動なども通して聞いています。

そのため、

歌っているときに聞こえている自分の声

と、

スマートフォンなどで録音して、あとから聞く自分の声

には、違いを感じることがあります。

そこで、

  1. いつも通り歌う

  2. 録音する

  3. 少し時間を置いて聞く

  4. 声量だけではなく、聞き取りやすさも確認する

  5. もう一度歌ってみる

という方法を試してみてください。

例えば、

「思っていたより声が小さい」

だけでなく、

「声量はあるけれど、歌詞が聞き取りにくい」

「高音になると声が急に細くなる」

「特定の母音だけ聞こえにくい」

など、自分では気づかなかった特徴が見つかることがあります。

ただし、録音した声を「完全に客観的な声」と考える必要はありません。

マイクの位置、部屋の響き、録音機器などによっても聞こえ方は変わります。

それでも、

「歌っているときの自分の感覚」と「録音した声」を比較する材料

としては役立ちます。

「声を張る」と「声が通る」は違う

「声が通らないなら、もっと声を張ればいい」

と思ってしまうことがあります。

しかし、

声を張ることと、声が通ることは同じではありません。

例えば、

「大きな声だけれど、何を言っているか聞き取りにくい」

という声もあります。

一方で、

「それほど大きく感じないのに、言葉がはっきり聞こえる」

という声もあります。

だからこそ、

音量だけを目標にしないこと

が大切です。

歌では、

  • 声の大きさ

  • 声の音色

  • 歌詞の聞き取りやすさ

  • 音程

  • 声の安定性

  • 喉の状態

なども一緒に確認していきます。

高音になると「声が通らなくなる」のはなぜ?

高音では、低い音のときと同じ感覚で声を出し続けることが難しくなる場合があります。

声帯の振動状態や、声の出し方が変化するためです。

また、

「高音をもっと大きくしたい」

と思って、

「もっと息を出す」

「もっと押す」

「もっと声を張る」

となると、苦しくなってしまう場合があります。

高音については、

「出るか出ないか」だけでなく、「どのような状態で出ているか」

を見ることが大切です。

声が通らない場合も、

「もっと大きく!」

だけではなく、

  • 音量

  • 息の使い方

  • 声帯の働き

  • 喉や口の形

  • 母音

  • 力み

  • 音程

  • 録音したときの聞こえ方

などに分けて考えてみる必要があります。

「響かせれば声が通る」と言い切っていい?

「響き」は、歌ではよく使われる言葉です。

ただ、

「響きを増やせば必ず声が通る」

と単純に考えることもできません。

声の聞こえ方には、声帯で作られる音だけでなく、その音が通る喉や口の形なども関係します。

そのため、

「響きを感じる場所を探す」

という練習は一つの方法ですが、

「この場所に響けば正解」

と固定してしまう必要はありません。

人によって感じ方も違うからです。

声が通るために確認したい7つのポイント

練習するときは、次の項目を一つずつ確認してみてください。

① 声量だけを上げようとしていないか

「もっと大きくする」ことだけが目的になっていないか確認します。

② 息を必要以上に増やしていないか

「声が通らない=もっと息」になっていないか確認します。

③ 首や喉に必要以上の力が入っていないか

声を大きくしようとして、身体全体に力が入りすぎていないか確認します。

④ 歌詞が聞き取りやすいか

歌の場合は、音量だけではなく、言葉がどう聞こえるかも確認します。

⑤ 録音して聞いてみる

自分の感覚だけではなく、録音した声も確認してみます。

⑥ 伴奏を小さくしても確認してみる

カラオケだけで判断せず、時々小さな伴奏やアカペラでも確認してみます。

⑦ 無理なく繰り返せるか

一瞬だけ大きな声が出ることより、

「無理なく何度も使える声なのか」

も確認します。

「声を通す練習」は、いきなり大声にしない

声が通らないからといって、いきなり最大の声量を出す必要はありません。

例えば、

小さめの声↓少しだけ音量を上げる↓録音する↓聞き返す↓もう一度調整する

というように、少しずつ変化を確認する方法があります。

これは、

「必ずこの方法で声が通る」

という意味ではありません。

声の状態は人によって違うからです。

大切なのは、

声を大きくしたとき、自分の声がどう変化したのかを確認すること

です。

【事実】声の聞こえ方には複数の要素が関係します

声は、声帯だけで完成するものではありません。

肺から出る空気、声帯の振動、喉や口などの形が関係しながら、私たちが聞く声になっていきます。

NIDCDも、声帯の振動によって生まれた音が、喉・口・鼻などの空間を通ることで、声の音質や音量などが変化すると説明しています。

また、歌声についても、呼吸・発声・声道などが互いに影響し合う仕組みとして研究されています。

したがって、

「声が通らないから、この一つの原因を改善すれば必ず解決する」

と決めつけるのは慎重である必要があります。

【内田のボイトレとしての考え方】

僕がボイトレで大切にしているのは、

「大きな声を出せるか」だけではありません。

例えば、

「声量を上げたら喉が苦しくなった」

のであれば、

「もっと頑張って!」

だけではなく、

なぜ大きくしようとすると苦しくなるのか?

を考えます。

また、

「声が通らない」

という悩みでも、

  • 本当に声量が足りないのか

  • 声の音色の問題なのか

  • 伴奏に埋もれているだけなのか

  • 息が多くなっているのか

  • 声を押しているのか

  • 高音だけで起きるのか

  • 特定の母音で起きるのか

  • 自分の感覚と録音した声に違いがあるのか

などに分けて考えていきます。

同じ「声が通らない」という悩みでも、原因が同じとは限らないからです。

声が通ることと「無理なく使えること」

歌では、

「一回だけ大きな声が出た」

ことだけを目標にする必要はありません。

僕は、

「必要な音量を、無理なく繰り返し使えるか」

ということも大切だと考えています。

NIDCDも、声がかすれている、疲れている状態で歌ったり話したりすることを避けるなど、声を使いすぎないことを勧めています。

「声を通したい」という気持ちから無理に声を張り続けるのではなく、

自分の声がどのように変化しているのかを確認しながら練習する。

これもボイトレの大切な部分だと思っています。

こんな場合はボイトレだけで判断しないでください

「声が通らない」という悩みの中には、単純な発声の問題ではないケースもあります。

例えば、

  • 声がかすれる

  • 急に声が出しにくくなった

  • 喉に痛みがある

  • 話すこと自体が苦しい

  • 高音が急に出なくなった

  • 声の状態が長期間改善しない

などの場合です。

NIDCDでは、声のかすれが3週間以上続く場合や、呼吸・飲み込みの困難、話す・飲み込むときの痛み、数日以上声が完全に出ない場合などには、医師への相談を勧めています。

ボイトレで扱える発声上の課題と、医療機関で確認するべき問題は分けて考えることが大切です。

まとめ|声が通る=大きな声、ではありません

今回のポイントをまとめます。

  • 声が通らない=単純に声が小さいとは限らない

  • 声の聞こえ方には複数の要素が関係する

  • 「もっと息を吐く」だけでは解決しない場合がある

  • 声を張ることと、声が通ることは同じではない

  • 声帯だけでなく、喉や口の形なども声の聞こえ方に関係する

  • 録音して自分の声を聞き返すことも確認材料になる

  • カラオケでは伴奏に声が埋もれている場合もある

  • 高音では発声の調整が変わる場合がある

  • 音量だけでなく、歌詞の聞き取りやすさも確認する

  • 無理なく繰り返し使える声かどうかも確認する

  • 長期間の声のかすれや痛みなどがある場合は医療機関への相談も必要

「声が通らない」と感じたとき、

「もっと大きな声を出そう」

と考える前に、

「自分の声は、なぜ聞こえにくく感じるのだろう?」

と分けて考えてみてください。

それだけでも、練習の方向性が変わることがあります。

内田のボイトレでは

内田のボイトレでは、単純に「大きな声を出す」ことだけを目的にするのではなく、

声の出し方・音量・音程・喉の状態・声の聞こえ方などを確認しながら、その人に合った練習方法を考えていきます。

「声が小さいと言われる」

「声が通らない」

「カラオケで自分の声が埋もれる」

「大きな声を出すと喉が苦しい」

「声を張ると疲れてしまう」

そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

文章だけでは分かりにくい部分も、実際に声を出しながら一緒に確認していきましょう。

参考文献・情報源

  • National Institute on Deafness and Other Communication Disorders (NIDCD). Taking Care of Your Voice.

  • National Institute on Deafness and Other Communication Disorders (NIDCD). Hoarseness.

  • Titze IR, et al. Simulation of Vocal Loudness Regulation with Lung Pressure, Vocal Fold Adduction, and Source-Airway Interaction. Journal of Voice. 2021. DOI: 10.1016/j.jvoice.2020.11.030.

  • Herbst CT. A Review of Singing Voice Subsystem Interactions—Toward an Extended Physiological Model of “Support”. Journal of Voice. 2017;31(2):249.e13–249.e19. DOI: 10.1016/j.jvoice.2016.07.019.

  • Vurma A. Amplitude Effects of Vocal Tract Resonance Adjustments When Singing Louder. Journal of Voice. 2022;36(2):292.e11–292.e22. DOI: 10.1016/j.jvoice.2020.05.020.

 
 

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